2012/04/11/ [48日目②] 愛知県 和地バス停(田原市)-三重県 二見  金子レポート

デッドクリフと人々に恐れられている難航不落な壁にも似たその死の坂にリヤカーはびびった。どうしよう?ここで諦めようか?

工藤ちゃんを呼ぼうか?でも「工藤は戴けない」なんて言っちゃた手前、今更なんだしなぁ~。そう思案しているうちに現場に来てしまった。

見上げるような長い坂である。やるしかない。リヤカーは単独突破を強行したのである。一歩、二歩、チンポなどと誤魔化しながらどんどん高度を上げてゆく。

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坂を1/3まで来たところで上から下りてきたクルマが窓を開け話しかけてきた。気の優しそうな老人の声だった。マズイと思った。こんな所で立ち止まっていけない。その途端、リヤカーが下がり始めた。本当ににヤバイ状態である。

「大変だねぇ~、日本一周してるの?」

「. . . . . . . . .            。」

「雨の中、ご苦労さん。一人で周ってるの?」

「. . . . . . . . .           。」

「どこから来たんだい? . . . . . .. .. . ….. 。」

「. . . . . . . . .           。」

下を向いて歯を食い縛っているので返事ができないのである。

踏ん張って、頑張っても限界というものがある。

足が震えはじめた。取り敢えずクルマの方を向いた。

すると、「ひぇ~」と運転手は急に窓を閉め脱兎の如く逃げた。

そうである。額から滝の如く汗を流し、目は完全充血、顔真っ赤の形相は正に赤鬼である。

しかも、何か話そうと必死の覚悟で声を出し始めたのだが、自然に「う~ぅ」と野獣にも似た唸り声を発してしまったのである。

殺気すら感じたのであろう。それはそれはこ怖かったであろう。本当に申し訳なかった。反省仕切りであった。だが、邪魔者はいなくなった。

IMGP4225

リヤカーは次のクルマが来る前に事を成し遂げたかった。(洒落を言ってる場合ではない)

またである。今の駄洒落が分からない奴がいる。どうでもいいことだが毎回始末に悪いあの親子である。

着いた。最上部である。海から吹き上げてくる風が気持ちいい。

大海原を眼下に横山大観の画に勝るとも劣らずの絶景に言葉を失した。

なんとも言えぬ達成感に余韻を残し、暫し浸っていたかったリヤカーであった。

IMGP4226

だが、悪戯な神様はその至高の時間を直ぐ様奪い去り終わりを告げさせたのである。

そうである。下りが待っていたのである。下りも地獄である。上りよりもきついのである。

筋肉とよく相談してから行くことにした。

下り始めたリヤカー。

案の定、踏ん張りが効かない。

徐々にスピードがアップしてきた。

止めようと努力はするのだがどうにもならない。

早足が段々ジョギング、ランニング、そして100メートル走の如きトップスピードになった。

危険だ!

どうする?

どうにもならない!!

緩い右カーブに差し掛かった。

当然逸らすこともできず、左側のガードレールにリヤカーを擦りながら、「ガッ、ガガッガッガ、ガッキィ~ン」と金属音を鳴り響かせながら進んでいった。

ガードレール内側の歩道を散歩していた90度も腰が曲がった老婆が「あひゃ~」と悲鳴を上げた。阿鼻叫喚、冥土の土産にゃ酷すぎる事態であった。

だが、腰が真直ぐに伸びてしまったのは言うまでもない。

人助けである。「有難や」と拝まれたのも言うまでもない。

老婆にとっては「リヤカー、神様、お伊勢様」なのである。

最先端の医療技術までも持ち合わせていたことになる。

凄いぞリヤカー、エライぞリヤカー、正に神業であった。

恐るべしリヤカーパワー

伊良湖岬に着いた。運よく、出発寸前の船に間に合った。

受付を済ませ乗船するだけになった。一安心である。船の客室でゆっくりと寝れると思った。

ところがである。なんと、トラブル発生!緊急事態になってしまったのである。

受付においてリヤカー料金でもめ始めたのである。自転車でもなければ、バイクでもない、もちろんクルマでもない。

皆困った。リヤカー料金がないのである。時は刻一刻と迫っている。リヤカー大ピンチである。どうしたものか?困った。

船が出てしまうではないか。

「取り敢えず、自転車以上バイク未満でお金払いますから乗船させていただけませんか?」

「いや、ちょとお待ち下さい。今、本社に問い合わせしているところですから、、、、」

「でも、船が出てしまうので、取り敢えず、これで」とカッコよく万札をポンと出すリヤカーであった。

すると、「大丈夫です。お客さんの分は受け付けましたので、乗れますから、ご安心下さい」

なるほど、そうである、人間の分は受け付けてしまったのだから、当然である。リヤカーの勝ちである。

「まだ、時間掛かりますかね。ちょと、お茶でも買いに行って来てもいいですか?ノド乾いちゃって」

「いや、もうちょとですから、、、」

「でも、のど乾いちゃっなぁ~カラカラなんだよなぁ~。インスタントのコーヒーでも、、、、、、」急に態度が大きくなったのである。

「いや、すいません。それどころじゃないんでないんですよ。ほんと、申し訳ありません」さっきから頭を下げっぱなしである。

相手の弱みに付け込むのも、時としてパニックを引き起こすのもリヤカーの性である。

すったもんだの末、どうにかこうにか無事乗船することができた。約50分の船旅を楽しむリヤカーであった。

IMGP4228

鳥羽に着いた。

鳥羽駅へ行き、観光協会で安宿を探すことにした。そして、ユースに泊まることにした。まだ、ここから9キロ先である。雨はさらに激しくなってきた。

昼食を済ませ駅ローターリーに戻るとリヤカーの周りに人だかりが出来ている。ホテルの迎車連中だ。ここは完全に関西圏で言葉が、のりがそのものだった。

「日本一周してるんかえ?」

「何か売って歩いてるんかえ?」

「空かえ、もったいないなぁ~、イセエビぎょうさん仕入れて売ったらええわ」

「ヤギや、ヤギ連れて行ったらええわ。乳搾って、売ったら儲かるでぇ~」

「ホンマや、残ったら、チーズにバター作ったらええやないか。売れるでぇ~」

「アホか、時間が掛かりすぎや、ヨーグルトや、飲むヨーグルトがええ、その方が早くできる」

「えらい、かしこいやないか、でもってヤギ死んだらヤギ汁にすればええやないかなぁ~」

「そりゃ、ええ考えやわ、そん時は、忘れんで、呼んでな、いっしょに食おうやないか」

「ヤギ汁で宴会か、そりゃええ。で、兄ちゃんいつにする?早い方がええで」

「あんまり、遠くへ行ってしもうたら、参加できへんさかいな、松坂辺りがええとちゃう」

「そや、そや。でな、ヤギは臭~てアカンから、松坂牛にしといてくれへんかいのぅ?」

「あんた、かしこいなぁ~、霜降りの上等なやつでなくてもええんやから、松坂がええ、用意しとって」

めちゃくちゃである。言いたい放題である。雨で暇なのである。

アホ連中を後にして、一路、二見浦を目指す。

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それにしても、凄い雨である。風も激しくなってきた。道路は川のようだ。日が暮れる前にと先を急いだ。

意外と早く大江寺ユースに着いてしまった。

喜びと安堵に一安心出来ると思ったのだが、何度、呼び鈴を押し続けても返答がない。

誰もいないのである。運悪く、またしても雨脚が激しくなってきた。電話を掛けても当然、誰も出ない。最悪である。

仕方なく軒下で雨宿りすること2時間弱、やっと誰かが帰ってきた。受付を済ませ、直ぐに風呂と思ったが、大事なことを忘れるところであった。

そうであるビールである。

大事なことは、風呂上りのビールである。

これがなければ今日一日の出来事が辛いだけで終わるところであった。

暴風雨など微塵にも気にせず疾風の如きコンビにまで往復し、歩きながら服を脱いで風呂場へ駆け込む。

「いい湯だ~。」

最高である。

シャワーでは味わえない至福のひと時。

矢張り、湯船に浸からないと一日の疲れがとれなのである。

額、首筋、背中の汗が引かぬうちにビールを飲むべし!そうと決めて汗ダラダラ状態で戦場へと向かった。

ビールだ!

ビ~ルゥ~!

プシュッ!

ぐびぃ~、ゴクゴク

うっぱっー、ぐうぅ~っ。

シュパァ~ッ!

うまい!あっという間にロング缶一本が胃袋に流し込まれてしまった。

しあわせであった。リヤカーなど、どうでもよくなった。遂に本心を曝け出したのであった。

やっこ、えだまめ、おしんこ、焼き鳥、から揚げ棒、キャベツの千切り、アイコとシンディー。

3本飲み干し、日本酒へ移行する。すると、玄関の方で賑やかな声がする。誰か来たのだ。

ヘルメットを掲げた二人組みライダーがびしょ濡れ状態で今まさにブーツを脱がんと悪戦苦闘していたのである。簡単に挨拶し、部屋に戻りまた飲み始める。

小一時間もしただろうか?酒もなくなり、酔いも回ってきたのでそろそろ、就寝の準備をと思い、余ったつまみを二人組みへ差し入れにいった。それがいけなかった。

「よかったら、いっしょにどうですか?」と未開封の一升瓶を突き出された。断る理由は何処にも見当たらなかった。即答である。酒にはめっぽう弱いリヤカーであった。

二人は山梨の医大生で留年が決まったのでツーリングに来たのだという。(大きな声では言えないが要するに国家試験に落ちたのである。)

リヤカーのことやら、色々なことを話しながら、酒を酌み交わし、夜は更けていった。大分時間が経った。一升瓶も空になった。すると、リヤカーは急に勢いがなくなり、声のトーンが下がってしまった。睡魔に襲われたのであった。「おやすみ」を告げ部屋に戻り床に就いた。なんと、都合よくできているのであろうか?

「それはそれでもいいんだよ」と口ぶさみながら深い眠りに落ち入るリヤカーであった。

翌朝。

飲みすぎた。

二日酔いだ。

頭がガンガンする。

今日一日はどうしたものだろうか?

ゆっくり、寝ていようか?そんな思惑で始まった宿酔いの朝であった。

<スタッフより>

5月11日、熱田神宮から清州まで進みます。

見かけた方は、応援よろしくお願いします。

皆さんも、リヤカー旅を始めませんか?

旅への参加ご希望の方は、メールrearcar01@gmail.comかfacebook

の方へお気軽にご連絡下さい。

尚、気ままなリヤカー旅、ご希望通りの区間で参加はおそらく難しいです。

前後数十キロ、ずれることはご容赦ください。

清州~岐阜県庁~米原へ進みます。

、是非ご参加ください。

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