2013/06/21(土) 徳島県阿南市―美波町 金子レポート

IMGP8279
4時半起床。
気持ちのいい、久々の晴れだ。
さっと朝食を済ませ、ゴミを拾い、忘れ物をチェックし、出発する。
途中にK氏のお宅に寄るが留守であった。そのまま国道をまっすぐ行くと自転車のおじさんが追い抜くや停車して声を掛けてきた。なんでも、息子さんもリヤカーで旅をしているとのことで、北海道から出発し、今は沖縄にいるらしい。帰宅後、検索し分ったのだが、その人は児玉文暁さん。日本以外も歩いていた徒歩の達人、凄い人だった。(2013年暮れに無事、故郷の阿南市に旅の途中で知り合った女性と目出度く帰宅&結婚のWゴールインしたのだった)歩き人ふみの世界旅行 日本・台湾編
IMGP8281
IMGP8282
3日も停滞していたので体が鈍ってしまって中々調子が上がらない。田んぼのど真ん中に7-11阿南市土居崎店が見えた。グリコ朝食リンゴYGを購入し駐車場で百均のイスに腰掛け休憩していると、お遍路さんが現れた。白装束なので直ぐにそれと分かる。トイレ休憩だったのだろうか、先を急いでいると見えて、深刻な表情のまま消えていった。今回初めてお遍路さんを見たのだが何故にあんなに重苦しい空気を漂わせているのだろうか?不思議でならない。明るく楽しくお遍路歩きをすればいいのにと思った。
IMGP8290
時刻は午前8時だが日差しが強く気温が上がってきた。暑い!風もない。木陰もない。休憩ポイントがない!30分程経過した頃、前方の自動販売機脇におばあちゃんが笑顔で立っていた。両手にはペットボトルのお茶を持っていた。そして、それを手渡された。礼を述べると、3日前小松島で目撃したのだそうだ。そして、今朝、又、見かけたので、此処で待っていたのだそうだ。なんとも有り難い。別れ際に茶封筒を手渡された。
 
阿波福井駅を過ぎた。この先から徐々に登り始める。星越峠が待っている。正直、厭だ、暑い、キツイ、シンドイが避けては通れぬリヤカー旅。緩やかな坂は最初はスムーズに行くのだがある斜度を越えると急激にリヤカーが重くなる。引力、重力に逆らい踏ん張り、頑張り、前へ上へと進んでゆく。顔を上げると前方に「ヘンロ小屋第3号」なる休憩小屋が現れた。
IMGP8291
9:50当然休憩することになる。すぐさま、水を飲み、オニギリを食べる。雑記帳をパラパラめくりながら体を休めた。
歩き始めると額から滝のように流れる汗。びっしょり汗は背中とパンツの中へ。腕から流れ滴る汗はリヤカーを握る掌さえもべっちょりにする。しかも、大腿部から膝を通して脛迄流れ落ちてゆき踝から気持ち悪いくらいソックスに滲みこみ土踏まずから足指の間と間を不快にしてゆくのであった。頭が痒い!!!風呂に入っていないから臭い臭い!どうにかしなければならないのは分かっているがどうにもならないのがリヤカー旅の性。
IMGP8294
トンネルを抜けると下りになった。運よく道路沿いに川が流れていた。やることは一つしかない!その通り、あなたの想像通り!!。ちょ~キモチイイ!!ホントにホント気持ちよくて爽快感指数はキッパリサッパリチョウド1126%であった。
 
13:37最後5番目のトンネルを潜り抜けた先に巨大な船が現れた。ドライブイン「海賊舟」であった。
IMGP8301
記念撮影をして先に進むとコメリ美波店があり、殺虫剤、ガムテープ&おいしい水2ℓを購入し再出発。信号を渡るとそこは牟岐線路沿いで数少ない電車?列車が通り過ぎていった。
IMGP8302
14:45第23番札所薬王寺到着。お遍路に来た訳ではないが立ち寄ってみた。高齢者お遍路さんが団体でお参りをしていた。
IMGP8305
とても、賑やかだ。個人のお遍路さんも次から次へと現れる。しかし、表情が暗い。深刻、沈鬱病が感染しないかと心配するリヤカーであった。
IMGP8307 
IMGP8309
 
15:05サンクス日和佐店でぶっかけうどんとオニギリでエネルギー補給をしているとSさんが現れた。sさんフログ
IMGP8310 
IMGP8311 
IMGP8313
IMGP8314
IMGP8316
IMGP8321
リヤカーを引きに来たのある。薬王寺周辺から30分程引いて下さった。時刻は16時になりかけていた。ピッチをあげて今日の宿泊予定地牟岐へと急ぐ。夏至の翌日とあって日は長いが既に19時を回ろうとしていた。
IMGP8322
牟岐の街へ入るなりバーベキューの煙と臭いが漂ってきた。現場の前まで来た。「いいですね、ビールが欲しくなります」と声を掛け通り過ぎた。先へ50m程行くと踏み切りの向こうに鳥居が見えたのでリヤカーを置いて寄って見ることにする。戻ってくると、「スイマセン、ウチの人が呼んでます。さっきのバーべキューの家です。ちょっと、寄っていきませんか?」と女性が声を掛けて下さった。今日の幕営地情報を得る為にはグッドタイミングであった。
 
 
 
「もう少し、はよ~くればニクが食えたのに残念じゃの~。今日はどうするんじゃ?」
 
「テントです。この近くにテントが張れる所はありますか?それと銭湯も、、、、、」
 
「テント?テントに泊まっているんか?ていうことは風呂は??入ってないんやろ?」
 
「はい」
 
「ウチ、うちに泊まれ!泊まっていけ!布団で寝たいやろうが?どうじゃ?」
 
「有り難いのですがホントに宜しいのですか?ご迷惑ではないでしょうか?」
「なにが迷惑じゃ!まぁ、兎に角、あがってシャワー浴びてさっぱりしろや!」
「有難うございます。それではシャワーだけ浴びさせて頂けますでしょうか?」
「なにを言うとんのや、泊まれや言ったやろが、うんっ!はよ~せんかい!」
すると、奥さんが「家の人は一度口にしたことは変えません。そういう性質の人ですから遠慮せずに泊まっていって下さい」
川の水と大違いでシャワーのお湯はあったか~い。シャンプーが2度目で泡が立つ。垢すりタオルで全身ゴシゴシすると身も心もキレイサッパリ清々しい。バスタオルで体を拭く心地よさは筆舌にしがたい。
部屋に通されると冷たいビールが待っていた。
「まぁ、一杯いこうやないか」
プシュッ!
「名前は?」
「AKIRAです」
「おもろいな、苗字言わんのかいな」
「金子です」
「俺の名前分かるか?」
「○×ナニおさんです。」
「お前、オモロイな、えぇ、アキラ」
「?????」
「何で、俺の苗字と名前を知っとんねん?」
「はい、ポストに書いてありましたから。」
「賢いのう、アキラ、お前、大学出てるやろ」
「一応、紆余曲折ありましたが、どうにか卒業致しました」
「ほれ、本性出しよった。ホンマニ大學出はよう、すぐに四文字熟語使いたがる」
 
 
 
奥さんがサバの味噌、サラダ、お新香、トロロの味噌汁のご飯を用意して下さった。
サバがウマイ、サラダがウマイ、ご飯も味噌汁も何もかもがウマイ、ウマイ、ウマイ!
それ以上の言葉は何一つ浮かばなかった。
 
「飲めや、もっと飲んだらええ」
遠慮せず、注がれるままにEさんと二人で可也の量を飲んだ。お腹も一杯になった。
 
すると突然
「ヌンチャク知っとるか?これや、使ったことあるか?」
ある訳がない。そして、もの凄い速さでヌンチャクを振り回し始めたのである。
「アチョ、アチョ、アチョ、アチョ~!!!!!!!!」
声まで真剣そのもである。何と形容していいか言葉が出てこない。
「世界一強いのはブルースリーやで!」
なんだか急に別世界に入り込んでいた。
「やってみぃ」ヌンチャクを手渡された。
「振ってみぃ」人生初、本物のヌンチャクを振ることになった。
重い、手に持った瞬間そう思った。当たり前だがEさん見たいには振れない。
「アバラ折るぞ、いいか、よく見ときい、こうやるんや!」
彼は本気だった。正気だと思うしかないリヤカーであった。
「ほれ、そこの日本刀とってみぃ」今度は何故か日本刀を持てと言い出した。
「大丈夫や、刃は本砥しておらん、切れんから安心せい」安心せいと言われても困る。
手に取ると本物の刀でとても重く両手にずっしりくるではないか。
「重いやろ、切れんが鼻と耳はふっ飛ぶ、アバラは折れる」と言われても返答に困る。
こんな展開を誰が予想出来ただろうか?
なんだか、凄い世界に入ってしまった。
「刀はこう持つんや!大学での癖して何もしらんな、えぇ、アキラ!」
そう言われても何とも、兎にも角にも困りに困ったリヤカーであった。
その時であった。
「疲れてはるんやから、早よう休んだほうがええですよ」
ああ、なんと優しきお言葉。天から舞い降りてきた聖母マリア様の声は多分、これと同じだったのではなかろうか。本当に助けられた。救いはあったのだ。十字を切ってアーメン。正直、ヌンチャクも刀も全く興味がなかった。だが、一宿一飯の恩義に無礼を働くことは出来ぬリヤカーであったのだ。有り難きお言葉を戴き、お遍路の四国では思わぬ困難に遭遇しても女神様が降臨なさって下さるのだ。無宗教ながらもリヤカーはそう思わずにはいられなかったであった。ああ、これでやっとヌンチャクと刀から開放されると思うと涙が溢れそうになった。真の自由とはこういうものなのか?ささやかな日常にこそ、本来の喜びがあるのだ。尽々、そう思ったリヤカーは全身の力が抜けて行くのを実感しながら、心地よい深い眠りを永久に摑むかのように隣の部屋の布団に吸い込まれて行くのであった。

 

広告
カテゴリー: リアカーレポート パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中